「…俺達ってさ」

本当はそーちゃんの方に向きたいけど。

抱きしめられているので無理。


「今、こうしているのは不思議だよね」

「うん…」



本当なら。

私の横には拓海くん。

そーちゃんの横は沙織さんだったのかもしれない。



実際は。

私の横にそーちゃん。

そーちゃんの横には私。



今ではそれが当たり前で。

わからないものだな、人生なんて。



「こうやって二人で過ごすのもあと少しだけど…。
子供が生まれてもいつまでも仲良くしたいな、なんて思う」

ギュッ、と抱きしめられてドキッとした。

「…そうだね、ずっと仲良くいれたらいいね」

私はそーちゃんの手を撫でた。



いつの間にか寝ていて。

気がつけばもう明け方。

後ろからそーちゃんの寝息が規則正しく聞こえる。

私のお腹に回されたそーちゃんの手を優しく握る。



どうか。

こんな穏やかな時間を

これからも

過ごせますように…