そーちゃんはしばらく私を抱きしめたまま、黙っていた。


やがて。


私も落ち着きを取り戻した時、そーちゃんの口が開いた。



「拓海も幸せだったと思うよ。
それを忘れようだなんて、今までの生き方を否定するのと同じくらい、ひどい話だよ。
だから…、忘れないで欲しい」

私は頷いた。





結局。

部屋にある本類は処分して、洋服もいるものを箱に詰めて持って帰る事にした。



拓海くんとの想い出の制服やもらった指輪、手紙、アルバムは今、まだ私には辛いので箱にしまった。

これも一応持って帰る。



部屋に残されたのは家具だけ。



部屋にも想い出があるから。

やはり、辛い。



あとは産まれてくる弟か妹が使えばいい。



「じゃあ、運んでおくよ」

「うん」



これで、少しはすっきりした。





さようなら、想い出のいっぱい詰まった部屋…