高校を卒業して、慌ただしく家を出て。


高校の制服もクローゼットの中にそのままになっていた。



アルバムも一度開いたきり、机の上に置いたまま。



ここだけは時が止まっているかのように。



拓海くんが初めてこの部屋に入った時。

妙に落ち着きがなくて。

ソワソワしていた。

その様子が堪らなく可愛くて、今でもすぐに思い出す。



まだ、あれから1年経っていないのに。



君がイナイ。



私の横にいるはずの君がいなくて。



お腹に残された小さな命が。



今となっては君が生きた証。





いつの間にか私は号泣していた。





この部屋には、想い出がありすぎる…