__昨日のことを思い出した。



「あぁ、あれ?
全然庇ったうちに入んないよ…!」



「…でも、僕のせいで先輩に嫌な思い
させちゃったから…本当にすみません」



「ふふっ、後輩くんは良い子だね。
でも、あーゆうの慣れてるし
嫌な思いもしてないから大丈夫だよ。」



そう言って、良い子すぎる後輩くんの頭を撫でようと、再び手を伸ばしたけれど…



__パシッ……



「…お」



不意に手首を掴まれて、
初めて髪に触れれなかった。

ちょっと悲しい。



「……そんなことに、慣れないで下さい」



「…へ?」



珍しく真剣な表情をする後輩くんに驚いて、
間抜けな声が出てしまう。



「先輩は、自分犠牲にしすぎ。
どうしていつも、悪役を買って出るんですか。……そんな先輩のこと、ほっとけません」



「………」



……ごめん、可愛い。



あたしなんかを心配してくれているんだと分かったら、やっぱどうしても可愛いと思ってしまう。