「で、終わったら玉ねぎのスライスだ。縦に半分に切って、玉ねぎの先の茶色くなった部分とお尻の芯を落として、縦に薄く切ってくれ」 「薄く……」 私にできるだろうか。 「スライサーに頼るって手もあるが、それだと逆に薄くなりすぎる。火を通すから多少は厚くてもいいし、頑張れ」 「……はーい」 切る前から難しそうで泣きたい。 それでもやるしかない、と切っていると……あ、あれ? 悲しいわけじゃないのに、本当に涙が出てきた。