改めて、じゃがいもを切ることに集中する。


崇さんの視線は気になるけど、雑念は頭から追い出す。


幸いと言っていいのか、初めて扱う包丁の怖さはどこかへ吹き飛んでいった。


手が震えないように力をこめて、じゃがいもを切っていく。


すべてのじゃがいもを切ることが出来た。


はあーと長い息をはく。


無意識のうちに肩に力が入っていたようで、ようやく肩を下げた。


「切ったじゃがいもは水にさらす。こうすることで灰汁が取れて変色しないのと、余計なでんぷんを流せる」


私は言われた通りにした。