息づかいを感じる。


耳元で崇さんの声がする。


私は慌てて首を上下に振った。


「よし、やってみろ」

「あ、あの、崇さん」


崇さんが手を離したけど、肩が触れ合うほどそばに立ったままで、

緊張して、じゃがいもを切るどころではない。


唾が減って、喉にはり付くような声で呼びかけながら、横に立つ崇さんを見た。


崇さんも私を見て、顔の近さにお互いが驚く。


崇さんは自分のしていることにようやく気づいたのか、

「あ、悪い!」と言って、私からパッと離れた。