容姿端麗で豪農の末っ子

高望みをしなければ、そこら辺の下級武士よりも

いい生活が保証されている身である。


このまま俺ァに農民をやれって?


んなこったぁ、ちっとも興味ねぇーよ。

俺ァは武士になって本当に立派な道筋を歩んで行くんだ!!






それなりに由緒正しきお家に生まれたはずなのに

この顔のせいで何もかもが台無しよ。


どこに行ってもこのひどい顔のせいで縁談を断られる。


昔はそれなりの武家の女としての気高さを胸に持っていたけど、

恥ずかしいのはもう、御免よ。



そこら辺の農民でもいいから、

私にいいお嫁さんを演じさせてよ。



私はこの顔のせいで性格までひん曲がりそうなのよ。



これ以上、お家の顔に泥を塗りたくないのよ。





そんな私を拾ってくれたのは、

近藤家の養子、近藤勇だった。


彼はゴツゴツしていて、とても勇ましい顔立ちをしていた。

私は彼の男らしい顔に惹かれつつ、

どうしてこのようにひどい顔の自分を

選んだのかが気になった。








旦那様は私を拾ってくれただけあって

優しかった。

だが、それは表面上だけで、旦那様は

由緒正しきお武家の家の出なら誰でも良かったのだ。

身分が高ければ高いほど良かったのであろう。



旦那様は私を利用して、

私も利用されていると知りながら

旦那様を利用する。



そんな関係でいいのではないかと

私の心は麻痺しつつあった。









そんな時、旦那様は盟友の土方歳三さんを紹介してくれた。

私に盟友と呼べる存在を紹介してくれるなんて

思ってもいなかったから、

舞い上がって土方様を迎える支度を整えていた。






こんなにも、美しい人を見たのは初めてだった。






私たちは正反対で互いに交わるべき存在ではなかった。




それなのに、その平行線を飛び越えて私たちは

互いを惹かれあってしまった。




私たちの軌跡は罪となり後世にも残っていくのであった。




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