「現実を見なさい。あんたみたいな、頑張って人並みのそこらの庶民に毛が生えた程度の女、本気で花嫁候補にすると思う??」


「………う、そこまで言わなくても」


そりゃあ確かに、本店の女性陣もアルバイトでさえ、立ち振舞い、身なりには細かく気を遣っている。


もちろん研修で得た経営方針に基づいた、熱意のある社員だからこそ、義務付けられたものだけれど。


ヘアサロンもそこそこ有名なお店に通ってるみたいだし、派手すぎないネイルの手入れも睫毛のエクステも気を抜かない。


お店の看板として、一見似通ったキャラでも、個性を生かした商品で被らないように着こなし、宣伝している。


私が見ていても感心する。
私にもこんな頃があったんだなと。


「気を付けるに越したことはないわよ。傷付くのはあんたなんだからね??なんかあったら慰めるし、聞いてあげるけど」


既に振られる前提だ。


正美は来年結婚予定の彼氏がいた。イケメンの雑貨店経営者で、一度お店に連れていってもらったことがある。


シャリン、とLINEの着信が鳴る。