「縁がなかったってことね、つまり」


次の公休日。というより最後の公休日。


その月一杯で依願退職という形で、残り半月、引き継ぎやら何やらでバタバタとした疲れを癒しに、正美の営む雑貨店に立ち寄った。

「だから無理だって言ってたじゃん」


「無理とは言われた覚えはないわ。騙されてるとか言われたけど」


「似たようなもんじゃない。あっ、ねえいっそうちで手伝ってくれない?」


「えっ?」


在庫を確認しながら、最中にやたら電話やパソコンのメール着信、宅配が重なり、一人でバタバタしていた。


宅配の受け取りくらいはできるのでサポートしてあげた。


「波があるからなんとも言えないけどさ、たまにこ忙しいんだ、今みたいに」


「様子見で食事代くらいは出すよ。その辺の子雇うのも抵抗あるんだよね、なかなか続かないし」


確かにオリジナルの雑貨が多数で、一人で切り盛りするのは一苦労だ。


よほどセンスが合わない限り上手くいくとも言い難い、片寄った職種ともいえる。


私は、嫌いじゃない。


「そう言ってもらえると助かるけど、いいの?」


「いい、いい!!佐那なら気心知れてるし、やりやすい」


メールのチェックやら、えーとあれはどこにあったかな、と考えながら応える正美。


「……前向きに考えてみる。ありがとう」