けれど。
上体を起こしていたベッドに、バッと両手をつくと、
顔が近づいた。
あっ、と思う間もなく。
唇が、塞がれた。
柔らかい感触で、やり場のない想いを押し付けるかのように。
不馴れなのが伝わってきた。
女の子の扱いに不器用な、たぶんそう経験のなさそうなキス。
やっぱりダメだ。
普通の女の子と普通の恋をしてもらわなくては。
彼のためにはその方がいい。
顔を背け、唇を離すと、
「帰って………!!」
―――涙が頬を伝っていた。
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