「下の名前で馴れ馴れしく呼ぶの、やめてくれない??これでも年上なんだし、あなたから見たらおばさんなんだから」
けれどお構いなしに商品を手に取ると、
「そんなことないよ佐那ちゃん、若いもの。それより、その服よりこっちの方が可愛いよ」
宣伝も兼ねてお店の服を着るようにしている。アパレルではよくあることだ。
結構お気に入りのコーディネートだったのに。こんなお子さまにダメ出しされてしまったことにムッとした。
「だから!!」
「あっ、ごめんね??傷つけちゃった??でもホントに。マジで。こっちのシャツの方がいいって。ほら」
ハンガーに掛けたまま、あてがおうとする。
「あっ、いらっしゃいませ」
他の女性客が覗きに来たので慌てて離れる。
「じゃあ、お仕事、頑張ってね!!また来るね!!」
ぶんぶんと本当に子供のように無邪気に手を振る。自分の気分で適当にからかうだけからかって、帰りはあっさり帰る。