「……助けてもらったのは私の方なのに」
こんな子供にミスを庇われたようで、なんとなくふて腐れる。大人としての立場がない。
「あれ?気にしてくれてるんだ、一応」
「…そりゃあ、…一応、ね」
「じゃ~あ~、ホントにお礼してもらっちゃおうかな」
「はっ!?な、何させる気!?」
思わず身を庇うように身構える。
「そんな警戒しないでよ。変なこと頼まないから」
クスクスと笑いながら、
「そのネックレス。奢ってください」
マネキンの胸元に飾った、小さな白い花を数ヵ所にあしらった細長いネックレスを指差す。
デートにも普段使いにも使える、値段も手頃なものだ。
「ねっくれす?どうするの?あっ、彼女へのプレゼントね?」
奥に行き、在庫の新品を簡単なラッピングをして渡す。
すると、目の前で封を解いて中身を取り出し、私の首から下げてくれた。
「えっ!?えっ!?」
「ほら、やっぱり似合うよ、佐那ちゃん」
斜めから眺めながら、にっこりと微笑んだ。
―――やばい。
キュンとした。
彼にもされたことないこんなこと。