そして、今に至る。



吾妻家は、もうすぐのはずだ。


頑張れ、私。

走れ、私。

走るんだ。


もうすぐで、きっと助かるんだ。


…だけど。

だけどさっきの薮のところで身を潜めていたほうが安全だったのでは?

こんなに暗いんだ、一度撒けてしまえば、もうどこにいるかわからなくなるだろう。

だったら、隠れていたほうがよかったのかもしれない…。

でも、もう引き返すことはできない。


そんなことを考えていたら、私の足はおかしな方向へ曲がってしまった。


「うああああああっ!」


足を捻ったのだ。

こんな足では、走れない!

このままでは、捕まってしまう!


吾妻家は、もうすぐそこなのに!


「…」


奴が近づいてくる。

逃げられない。