両想い切符〜ふた駅先の片想い〜




私は先輩に連れられて図書館の外にあるベンチに座った



「いやぁほんと、探したわ~」



「え??」



「本は動かないけど、てんぼちゃんは動くし、まずここに来てるって確信もなかったし」



そう言って先輩はニコッと笑った



そして…



「ほんと、会いたかった。」



そう言って私の頭をポンポンと撫でた



キュン……。



私の心がぎゅってあったかくなる。


先輩が大好きだ~って心が叫ぶ。



ほらまたこーやって。



先輩は私のことを掴んで離さない。



私がフワフワと余韻に浸ってると先輩が急に切り出した



「大会、結局俺負けちゃって…


それで応援してくれてたし、てんぼちゃんに連絡したくて携帯開いたらさ、


てんぼちゃんの連絡先、なかった。」







「そりゃそうですよ!!

連絡先、先輩に教えてないですもん!!」



私がそう言うと先輩はまたクシャッと笑って



「だよな?」


なんて、首を横に向けて笑う



「そーですよ!!」


2人でで笑いあってると、先輩が急に真剣な顔付きになった



「ってことでさ、


連絡先、教えてよ。」




そう言って先輩は自分の携帯を私にチラチラと見せた




えっ………


逆にいいんですか……!!?



「ほらぁ、なに戸惑ってんの!!
はやく!携帯!出して!!」




なんてゆうから私は急いで携帯をポッケから出した



必死で連絡帳を開いていると



「あ、そうだ。」


先輩がまた切り出した



「え?なんですか???」



「ん~?

誘おうと思ってたんだよね、これ。」



そう言って先輩は図書館の窓に貼ってあった夏祭りのチラシを指さした







「えーっと……

誰をですか???」



この前の相談の続き???梨捺先輩の話してる??



私がそう思って聞くと、先輩はお腹を抱えて笑い始めた



「いやぁ~なんでだよ!!


もう前言ってた好きな人と約束してたらどーしよとか思いながら割と緊張して誘ったんだけど!!!

笑わせんなって!!」



「え、だって……


え、結局誰なんですか???」



「てんぼちゃん!

俺をいじめてんの???

てんぼちゃんと、夏祭り、行きたいです」




そう言って先輩は右手を出した



うそ……


先輩が??


私を??


夏祭りに誘ってる!!?



夏祭りってあの、恋人たちが行くものでしょ?












「てんぼちゃん??ダメなの??」


そう少し心配そうに遠慮がちに聞く先輩が可愛すぎて…



私は先輩のこと忘れることなんて忘れて


思いっきり首を横に振った



「じゃーきまり!!
ほーら!ほら!」



そう言って空っぽのままの右手を先輩はぶんぶんっと振った



私がその右手に私の右手を重ねると



先輩は満足そうにぎゅっと握った



先輩……私、先輩のこと信じてもいいですか?


ちょっとだけ…期待してもいいですか??







長かった補習期間も終わって、今日は待ちに待った夏祭り!!



舞衣に話すと、


「それはもう、期待しても大丈夫だよ!!
未緒、頑張ってね?!!」



と、応援してくれて、浴衣も一緒に選んでくれた



白地に水色とピンクの控えめな花が散りばめられた浴衣



髪型も一週間ぐらい前から練習してやっと綺麗にできるようになった




夏祭りがあるのは私の家から先輩の家の方向とは逆側。



つまり。学校とは逆側。



自動改札機なんてない無人駅の田舎だから切符を買って行かなきゃいけない。



定期も使えないしね…



でもそんなことはどうでもいい!!!



先輩と待ち合わせたのは私の駅、双海駅の前にある小さな噴水の前。



『一度改札くぐってまた切符買うの面倒じゃないですか??』


って連絡したのに、先輩はそんなの気にしないよって。



優しいよね…ほんとに。







私は噴水の前でソワソワしながら待ってた



先輩、少しでもかわいいって思ってくれればいいなぁ。



しばらくすると、電車が到着した



少し急いで降りる先輩の姿が見えた



そんな急がなくてもいいのに…



でも、私服。


カッコイイ…。



シンプルなのに、先輩が着るだけでその服がすごく映えて見える。



凄いなぁ。モデルにだってなれちゃうよ。


あんな人と私、これから花火見られるなんて…




そう思ってると先輩が私に気がついた



「てんぼちゃん!」



そう言って笑顔で手を振る先輩に私はにっこり笑った






「ここまで来てくれて、ありがとうございます」



私がそう言うと、先輩は少し照れたように笑った



「てんぼちゃん、浴衣で来てくれたんだね」



「あ、はい…せっかくだから…。」




「そっか…


めちゃくちゃ可愛い…////」



そう言って先輩は耳を赤く染めた



「えっ///」



「ほ、ほら!!

はやく行くぞ?あっちの電車くる!!」



そう言って先輩は私の手を引いた



券売機で切符を先輩は2枚買って私に渡してくれた

「え!いいですよ!!
切符くらい自分で買います!!!」




「いーんだよ。俺が払いたいだけだし。」



そう言ってくれる先輩がまた好きになった



いつもとは反対側のホームで電車を待つ。


隣にはずっと憧れてた吉岡先輩。



不思議…



さっき駅員さんに切符に押してもらったハンコを見る



20**.08.25


なんて、日付が書かれてある


今日は忘れられない日になるなぁ~


そう思って先輩の切符に目を向けた






「あっ!!先輩!それ!

両想い切符ですよ!!!?」



「ん??両想い切符?」



「そうです!
ほら、この切符の端の数字!」


そう言って先輩の持ってる切符の橋に書かれた数字を指さした



先輩の切符には3703と書かれてあった



「おう、3703?これが?」


「そうです!同じ数字に挟まれてるでしょ?
先輩のは、3。


これ、両想い切符ってゆうんですよ?
で、この数字の間に書かれて数字が確率なんですって!


だからー先輩は70%ですね!」



「へぇー!!そんなのあんの!?
これは、田舎の特権だな


つか、70%か~

どーせなら、90%以上がよかったなぁ」



なんて少し拗ねる先輩が可愛い



「でも先輩!

70%なら、絶対私、傘は持って出ますよ?」




私がそう言うとクシャッと笑って



「てんぼちゃんは慰め上手だな」



なんて私の手をぎゅっと握った






それからそのまま電車に言われて、夏祭りの会場についた



「人いっぱいだなぁ。」


「はい…」



先輩が言う通りかなりの人で溢れかえっている


すると、私の手をまた先輩がにぎった


「迷子ちゃんになんないようにね?」



そう言って笑って私のことを引っ張ってくれる



先輩はいっつもそう。


私のこといつも前から引っ張って、時に立ち止まって…私が後ずさりしようと思ってもさせてくれない。




そんな人だ…



「てんぼちゃん!なんか食いたいもんない?」


しばらくあるいてると、先輩がそう言った。



「私、先輩が食べたいもの食べたい!!!」



そう言うと、先輩はキラッキラの笑顔で



「じゃあー、1個ずつ全部買ってやる!!」



なんて言うから


「もったいない!!!じゃあ、焼きそば!」



と答えると、嘘だし!焦りすぎ!

なんてまたバカにされてしまった。



またしばらく歩いて先輩のあとを手を引かれながら歩いてると、少し人混みから抜けた




「ココ、穴場なんだよな」



そう言って私を座らせてくれた