先輩との会話のひとつひとつを思い出しながら幸せな気分で眠った次の日の朝
今日も学校だけどいつもよりも気分が明るい!
よくよく考えれば、あの憧れのキラキラの王子様の吉岡先輩の1時間を私は貰ったんだ♡
長い人生のうちの1時間なんて、たかがしれてるけど…
なーんにもできなかった私にとってはこれってすごい進歩だよね!!?
ぼんやり先輩のことを考えても時間は過ぎていく一方で…
「こら!未緒〜!?
学校遅刻するわよ!!?」
なんてお母さんに声をかけられるまで私は幸せの余韻に浸っていた
「うわっ!!やばいやばいやばい!!」
私はカバンを持って急いで走る
その通学カバンには昨日舞衣とお揃いで買ったキーホルダーがついてる
私って今すごい幸せかも……♡
なんて思いながらも、この1時間に一本しかない電車は逃せない!!
という思いで必死に走った
ふぅう〜〜間に合ったぁ〜〜
必死の思いでいつもの場所に座っていつも通り通学する
眠い目をこするのも、いつもと変わらない。
だけどいつもと変わったのは
『逢坂駅〜逢坂駅に止まります』
今までは気に止めなかった逢坂駅。
気がつけば通り過ぎてた逢坂駅。
昨日は先輩とここで…………♡
私は先輩と過ごしたベンチに目を向けた
はぁあ。昨日に戻ってくれたらいいのに。
楽しかったなぁ~
私のそんな思いなんて知りもしないで電車はすっと走り始めた
昨日はほんとに夢のようだった。
すぐに時間が過ぎたし…何よりも楽しかったなぁ。
先輩ってあんな風に笑うんだね
目尻をクシャってして、肩を揺らして。
あぁ〜〜考えれば考えるほど昨日に戻りたい!!!
もうあんな時間は今後ないのかなぁ〜
『東条駅〜〜東条駅に止まります』
私はこのアナウンスにいつも通り耳が反応する
あっ!先輩!!!
ホームから電車に乗る先輩を見つけた
だけど今日はいつもと違って、先輩とバチッと目あった
その瞬間…
『よっ』
その口パクと一緒に先輩が右手をひょっと挙げた
「…………………!!!?」
あれって……私に!!?
そう考えていると、先輩が不思議そうに眉を曲げて、おーいと私に手を振った
私が急いでお辞儀をすると
先輩はあの笑顔でまた大きく笑った
………か、カッコいい…///
朝っぱらからしぬ………
そんな様子を見ていた梨捺先輩が不思議そうな顔をして
「知り合い??」
と聞くと、吉岡先輩は
「おう、すっげえおもしれー後輩」
そう言ってもう1度大きく笑った
「ふうん?」
梨捺先輩は特に興味もなさそうに呟きながらも、私にニコッとキラッキラな笑顔で一礼してくれた
なにあの破壊力!!!
何かの歌であった…
たかが知人Bに向けられた笑顔があれならおそろしいって…
まさにそうだ……これこそがあの歌の状況だ!!
あれで男はみんなやられるのか……
まぁ、仕方ない。あれは仕方ないよ!!!
と思いながらも私はまた急いで梨捺先輩に礼をした
はぁあ。昨日までの日々が平凡すぎたのかなぁ
今日はなんだか朝から心臓に悪いよ~
いつもとは違う日常にヘトヘトになりながらも、先輩とのことを思い出すと口角が上がってしまう…
はぁ~♡なんか幸せ……
そんなこと考えたまま、私は駅を出て学校に向かった
「お前、どーした??
その気持ち悪い顔…ゆるっゆる。
どうにかなんねーの?」
「ち、智弘!!!」
「ちょっと!!ちぃ〜
未緒見つけたと思ったらすたすた歩いて行っちゃうんだから!」
朝から不機嫌そうな智弘に私の口角ユルユルの顔見られちゃった〜。。。
「こいつが遠くからでも分かるぐらいヘラヘラしてっから茶化してやろうと思ったんだよ」
「余計なお世話だもん!!!」
智弘、こーゆう所だけは敏感なんだから…
「で?なんかあったの?
ま、どーせたいしたことじゃねーだろうけど、俺らが聞いてやるよ」
くぅぅ~ムカつく!!!
私からしたらたいしたことだもんね!!
「もー!そんなカリカリせずに!!
で、未緒??そんな嬉しそうに何があった?」
「どーせ、朝からケーキが食べれたとか
野良猫が擦り寄って来て可愛かったとかそのレベルだろ??」
ムッキ〜〜!!!
「そんなんじゃないもん!!
先輩と………吉岡先輩と話した///」
……なんか、自分で言っちゃったら自分で恥ずかしい〜///
「…………え??」
「…………は??」
「……………ん??」
「えっ?未緒…
先輩ってあの吉岡先輩???」
「え?うん。」
「未緒が話したの??!」
「…うん///」
舞衣も智弘も信じられないような顔で私を見てる
えっと……そんな黙られても。
なんて言えばいいかわかんないんだけど…
そう思って俯くと
「えぇ〜〜〜っ!!!
よかったじゃん!未緒ぉ〜っ!!!
なんでもっと早く言ってくれないのよ!!!
なんでなんで!?いつ!どーやって??!」
舞衣はよっぽどビックリして興奮しているのか、私の両肩を掴んでブンブン私を振った
私は昨日の経緯をだいたい話すと、舞衣はキラッキラの笑顔で頷いてる
智弘はだんだん不機嫌な顔になってきて
「んなの。偶然たまたまだろーが
お前は暇つぶしに使われたんだろ!」
「もぉー!ちぃ!!
あんたはちょっと黙ってなさい!!
未緒?ちぃの言うことは気にしなくていいからね??」
「う、うん。」
「いやぁ〜すごいよ。
あの未緒が先輩とそんなことになってたなんて!私見直したわ!!!」
すごい勢いで私に質問攻めする舞衣とそれに伴ってる不機嫌さを増す智弘。
あぁぁあ〜もう!!
私は朝から疲れてるのにぃ!!!
でも、舞衣の一言から空気は逆転した
「で?
どんなLINEしてるの??♡」
………ん??
「ん?え?
どんなLINEしてるの?てか、吉岡先輩のアイコンとかめっちゃ気になるんだけど!
見せてよ!!」
「えーっと。あの…LINE知らない。」
「はぁ!!?」
「え、だから、LINE知らないよ??」
私がそう言った瞬間、智弘が吹き出した
え、え??なにがそんなにおかしいの!?
「ほら、言わんこっちゃない
こいつは、そんなもんなんだって
あーおもしろ」
「未緒……
先輩と1時間話して間に連絡先ぐらい聞けたでしょ??」
「うーん。そんな発想、思いつかなくて…」
「1時間話せた〜♡って、それ、次にほとんど繋がらないじゃない!!」
……確かに。
どうしよう!私、先輩と話せたことと、朝手を振ってくれただけで、満足しちゃってた!
「はぁ〜〜。あんたの脳みそは中学生か!!
今どき中学生でもその状況だと連絡先ぐらい聞くわよ!?」
うぇぇぇーーー!!!
そーなの!?私の恋愛レベル、小学生以下!?
舞衣が信じられないって呆れた表情をして、
私がショックを受けた表情をしていても、
智弘はずっと隣でそれを見て笑ってる