両想い切符〜ふた駅先の片想い〜




次の日。とうとうこの日が来てしまった。



先輩とバイバイしなきゃいけない日。



今日もまた登校の電車に揺られる。



東条駅について電車に梨捺先輩と乗り込む吉岡先輩。



「よっ!」とまた口パクをして手を上げる


あのキラキラの笑顔で。


今ではもう梨捺先輩もあの綺麗な愛想笑いではなくて手を振ってニコニコしてくれる



こんなにも関係性が近づけるなんて思ってもみなかった。



こんな登校も今日で最後か。


卒業式が始まって先輩たちが入場する。


吉岡先輩はやっぱり1番かっこよくてキラキラしている



そういえばこの学校にはネクタイを交換すると結ばれるという伝説がある



吉岡先輩のネクタイほしいなぁ。


写真も撮りたい。





なんて思ってたのに。。


卒業式後には吉岡先輩の周りは人だらけ。


男女問わず人気の吉岡先輩。


「おい!遥人!この後焼き肉いこーぜ!!」


「おう!肉いいねぇ!」



なんて会話してるし。


私との時間なんてないよね...。



でもそれならこのままバイバイ...??


彼女でもないし図々しくいけないや。。



帰ってからお祝いのメッセージとサヨナラのメッセージ送らなきゃ、、





そう思いながらひとりで先輩との思い出を振り返りたくて図書館へ行った。



ここでふたりでお弁当食べたなぁとか、たくさんお話したなぁとか。


先輩といる時の私はいつも笑顔でいつも楽しそうだった。。


歩くところ歩くところ先輩との思い出ばっかり浮かんで、いつの間にか自分が先輩ばっかりになっちゃってることに気がつく。




もうバイバイなんて...。


寂しい。


吉岡先輩...もう会いたいです。






図書館から駅までの道。



昨日までは吉岡先輩と手を繋いでかえった。



寂しくて気がつけば涙を流していた。



あぁ。吉岡先輩のことでたくさん泣いたなぁ



それも全部いい思い出。


これからの学生生活に吉岡先輩がいないと思ったらとても辛いけど、このいい思い出を胸に私はあと2年、この高校に通うんだ。



「あれ?未緒ちゃんじゃない???」


「おう!未緒!お前なにやってんの???」



私がブルーな気分に浸っていると、後ろから智弘と梨捺先輩が来た



しっかり、ネクタイが交換されている。


すごい。噂通りなんだ。



「未緒ちゃん、遥人は???」



「吉岡先輩は...みんなに囲まれてたし。焼き肉行くみたいですし...。」


「なるほどな。
お前の出る幕なくて先に帰ってて、寂しくなってひとり泣いてんの??

ってことは、あとから待ち合わせか???」



「いや...もうバイバイかも。」



「は??」「へ??」


私が辛そうに言うとふたりが何いってんの?という顔でこちらを見る。





「未緒ちゃんにとって遥人はどんな存在だった??」



私にとって...


「憧れで、一緒にいるといつも楽しくて、
キラキラしてて、私にたくさん幸せをくれて...

大好きな存在です」



私がそういうと、梨捺先輩はふふっと笑った


「遥人にとって未緒ちゃんも同じような存在だったんじゃないかな??」



「え??」



「ほんと。俺と未緒が話してる時の吉岡先輩の目線、激こわだったからな

未緒のこと相当特別だったと思うけど?」


「未緒ちゃんにも心当たり、あるんじゃないの?」



そう言われて改めて考えてみた。


先輩はいつだってあの優しい笑顔を見せてくれて、私のことを楽しませてくれた。



いつだって私のことばっか気遣って。



私...やっぱり先輩にちゃんと思い伝えなきゃ







そう思って先輩にすぐに連絡しようと携帯を出すと、



着信履歴が26件。

__吉岡 遥人



LINEもたくさん来てた。



『てんぼちゃん今どこ??』

『なんで俺置いて帰ってんの?』


こんなにもたくさん...。



そして最後に


『双海駅の噴水前で待ってる。
ずっと待ってるから絶対来いよ』



そう書かれてあった。






行かなきゃ...



先輩が待ってくれてる。



私は次の電車に間に合うように駅まで走った



双海駅まであと何駅...あと何駅...



先輩に早く会いたくてそんなことばっかり考えてた



双海駅に着くと、噴水の前に吉岡先輩がいた




待ってるだけであんなに絵になっちゃうんだもんな。



ほんと、先輩には適わない。







「吉岡先輩!!!」


そう呼んで駆け寄ると先輩はほっとした顔を見せた



「遅い!
ってゆうか、なんで俺置いて帰ったの??
俺、最後にもっとてんぼちゃんと色んなところ行きたかったのに。」




「ごめんなさい...。
先輩忙しそうだったし...。」



そういうと先輩はやれやれと呆れた顔になってそのまま私を抱き寄せた。



「せ、先輩!ここ駅ですよ!!?」





「そんなの関係ないし。


それから。


俺、てんぼちゃんよりも大事なものとか、ないから。」



「え???」




「っつか普通言葉にしなくたって分かるだろ??

あんなに俺てんぼちゃんに愛注いでたってゆうのにさぁ。」



そう言って拗ねる先輩は少し可愛い







私が笑っていると先輩がなに笑ってんだよ~

なんて言って私の頬をむぎゅっとつまむ



「ははは、面白い顔してんなぁ~」



なんて無邪気に笑う先輩はやっぱりカッコいい。



やっぱり吉岡先輩は永遠に私の憧れだなぁ


なんて思っていると急に先輩が真剣な顔付きになった



「.......吉岡先輩???」



「俺らさ、運命だと思うんだよな。」


そう言って先輩が渡してくれたのは切符。



その切符には『5995』と番号が書かれている



「先輩.....これって.......」


「凄いだろ?てんぼちゃんのこと思ってたら神様がプレセントしてくれたぞ??


まぁ、てんぼちゃんとの恋は100%がいいけど、足りない1%はふたりで補っていこう」



そういうと先輩は私のことをまたぎゅっと抱き締めた







「大好きだよ...未緒」