両想い切符〜ふた駅先の片想い〜




ってゆうか!!!



唇に...唇に...。キス...されちゃった



キスが終わって見つめ合うと、先輩は優しくにっこり微笑んでくれた




はぁぁやばい。幸せだ~



吉岡先輩に...憧れだったはずの先輩に...////



そしてそのまま自然といつものように手を繋いで駅まで帰って電車に乗った



今日は電車の中でも手を離さないままずっと繋いでいた



「じゃあ先輩、頑張ってくださいね」



私はそう言って先輩を見送った







それから2月末になり、自由登校が終わる。



先輩は全ての試験日程を終了した



先輩のセンター試験の結果は、


なんと!自己最高得点を獲得して、見事第一志望の大学の二次試験を受けることが出来た



さっすが!吉岡先輩!!



その第一志望の大学というのがやっぱり私の予想通り、ここからは少し遠い都会の大学だった。



うまく行ってよかったけど...。



すごく寂しいかな。




それに...入試が終わったからも特に私たちの関係性に変化はなく。



私たちって何なんだろう...



もしかして大学の彼女を作るまでのつなぎ??



いやいや、まさか、吉岡先輩がね??



ないない!ないって思いたい!!




今日は先輩、最後の登校日。


明日はついに卒業式だから。



そっかぁ。


先輩を見てドキドキする朝も。学校で先輩いないかなぁって探すことも。


帰り道、先輩と手を繋いで帰ることも。


もうないんだなぁ。なんて思うと涙が出そうになる。



「てんぼちゃん?どーした??」



「え???」



「急に元気ない気がして。

ごめんね?今まで勉強ばっかで遊びにも行けずに退屈だったよな??」



「何言ってるんですか!!!
試験、お疲れ様でした!!先輩がベストを尽くせて私は本当に嬉しいんですよ!?」






「てんぼちゃん。ほんと、ありがとう」



先輩が改まってお礼なんていってくれるからなんか感極まってしまう。



「明日は、卒業式なんですね...」



「そうだな。ほんと、高校生活色々あったよ...」



「思えば最初、先輩のこと起こすのすっごく緊張しました!!

色々したのに先輩全然起きないし!
起きたらもう電車出ちゃって!」



私があの日のことを言うと先輩も大きく笑い始めた



「すっごい懐かしいな!!
あのとき、俺のこと揺すったくせに、私何も知りませんよーみたいな顔一生懸命作って、
俺と目が合ったら慌ててんの!!

しかも!自分の駅じゃないところで降りるし」



あの時はすごく恥ずかしかったけど、今思い出すとすごくいい思い出だ




それももう今日で終わりなのか...。



「どした??急に黙り込んで」


「.......先輩。寂しいです...。」



遂にずっと隠そうとしてきた思いが溢れてしまった。



もー。先輩のめでたい門出なのに。






「てんぼちゃん...」



そう言ってただ先輩は私のことを抱きしめてくれた。


こんな時間が永遠に続けばいいのに。



そう思いながらずっと先輩にくっついていた



離れたくない。



遠くになんて行かないで...。



なんて言えるわけもなく、私はただ先輩との今の時間を大事にしようと一生懸命笑顔を作った






次の日。とうとうこの日が来てしまった。



先輩とバイバイしなきゃいけない日。



今日もまた登校の電車に揺られる。



東条駅について電車に梨捺先輩と乗り込む吉岡先輩。



「よっ!」とまた口パクをして手を上げる


あのキラキラの笑顔で。


今ではもう梨捺先輩もあの綺麗な愛想笑いではなくて手を振ってニコニコしてくれる



こんなにも関係性が近づけるなんて思ってもみなかった。



こんな登校も今日で最後か。


卒業式が始まって先輩たちが入場する。


吉岡先輩はやっぱり1番かっこよくてキラキラしている



そういえばこの学校にはネクタイを交換すると結ばれるという伝説がある



吉岡先輩のネクタイほしいなぁ。


写真も撮りたい。





なんて思ってたのに。。


卒業式後には吉岡先輩の周りは人だらけ。


男女問わず人気の吉岡先輩。


「おい!遥人!この後焼き肉いこーぜ!!」


「おう!肉いいねぇ!」



なんて会話してるし。


私との時間なんてないよね...。



でもそれならこのままバイバイ...??


彼女でもないし図々しくいけないや。。



帰ってからお祝いのメッセージとサヨナラのメッセージ送らなきゃ、、





そう思いながらひとりで先輩との思い出を振り返りたくて図書館へ行った。



ここでふたりでお弁当食べたなぁとか、たくさんお話したなぁとか。


先輩といる時の私はいつも笑顔でいつも楽しそうだった。。


歩くところ歩くところ先輩との思い出ばっかり浮かんで、いつの間にか自分が先輩ばっかりになっちゃってることに気がつく。




もうバイバイなんて...。


寂しい。


吉岡先輩...もう会いたいです。






図書館から駅までの道。



昨日までは吉岡先輩と手を繋いでかえった。



寂しくて気がつけば涙を流していた。



あぁ。吉岡先輩のことでたくさん泣いたなぁ



それも全部いい思い出。


これからの学生生活に吉岡先輩がいないと思ったらとても辛いけど、このいい思い出を胸に私はあと2年、この高校に通うんだ。



「あれ?未緒ちゃんじゃない???」


「おう!未緒!お前なにやってんの???」



私がブルーな気分に浸っていると、後ろから智弘と梨捺先輩が来た



しっかり、ネクタイが交換されている。


すごい。噂通りなんだ。



「未緒ちゃん、遥人は???」



「吉岡先輩は...みんなに囲まれてたし。焼き肉行くみたいですし...。」


「なるほどな。
お前の出る幕なくて先に帰ってて、寂しくなってひとり泣いてんの??

ってことは、あとから待ち合わせか???」



「いや...もうバイバイかも。」



「は??」「へ??」


私が辛そうに言うとふたりが何いってんの?という顔でこちらを見る。