「んー。そーゆうことは受験終わって落ち着いたらかなぁ。」
「まぁーほんと、未緒は呑気なんだから!
そんな悠長なこと言ってて何も無いまま卒業しちゃっても知らないんだから!」
んー。そーだよね...。
ちょっと不安だけど先輩頑張ってるし、今はまだがまん時だ...!!!
とりあえず来週のセンター試験に向けて、私は精一杯サポートするんだ!!
「そういえばさ、
最近、ちぃが梨捺先輩とふたりでいる所ちょこちょこ見るんだけど、アレなんなんだろ?」
「え!!?智弘と梨捺先輩!!?
またビックリしちゃって指に針刺さるのかとおもった!!」
「なんか私的には梨捺先輩がグイグイなような気がするんだけど!」
なんて真衣はウキウキして話してる
よかった。
智弘も前に進んでる。
実は少し前に智弘とは一区切りついた。
先輩ともう一度帰り始めてから少しして、
「なぁ、俺もーそろそろ返事もらってもいい?」
「へ???」
「夏祭りの返事。お前、忘れたとか言うんじゃねぇよな。俺の渾身の告白」
「あぁ。」
「あぁじゃねぇし!
早く俺も前に進ませてくれない??」
「うん。私、吉岡先輩が好き
智弘のことももちろん大好きだけど友達がいい」
「おう。それを待ってた。
俺様を振ったからには絶対に幸せになれよ。
俺もお前が絶対に適わねぇような女見つけるからな」
というのが一部始終。
それから智弘とは何も変わらずこれまで通り
きっとすごく気を遣わせただろうなって気にしてたから、智弘が前に進んだ話を聞いたら嬉しい
今日もまた放課後になって先輩が教室まで迎えに来てくれた
いつも通り図書館で一緒に勉強している
するといつもより2時間早く先輩が切り上げた
「あれ?今日はもう終わりですか??」
「うん。今日はちょっと、てんぼちゃんとゆっくりしたくてさ」
そう言って図書館の近くの公園へ行った
「いつもより明るくててんぼちゃんの顔がよく見えるね」
「そんなこと言われたら恥ずかしいです////」
「あ。赤くなった。かわい~」
「も!バカにしないでください!!」
私がそういうと先輩は楽しそうににこにこ笑った
もーその笑顔だけで許しちゃうじゃん。
先輩、いっつもずるいです...。
先輩と私の間に心地のよい沈黙が流れた...
よし、お守り、今渡そう。
心を込めて作ったからきっと伝わるはず...
「先輩...
これ。明後日からセンター試験頑張ってください」
私は今朝出来たばかりのお守りを先輩に渡した
すると、先輩はお守りを見てとてもあったかく微笑んだ
「やっぱね。
あのお守りもてんぼちゃんだったんだね」
「え?」
「この前の。ほら。これ」
そう言って先輩がスクールバッグから出したのは私がいつの日か靴箱に入れたお守り。
「これ...。」
「な?やっぱてんぼちゃんの御守りだ
このお守りがマジで自分のサポートになった。
てんぼちゃん。ほんと、すごいよ」
そう言って先輩はわたしの頭をポンポンとする。
「先輩にどうしても頑張ってほしくて...」
「マジでありがと。ほんと、俺最近すっごく思うんだけど。
てんぼちゃんに出会えてよかった」
そう言って先輩はにっこり笑った
先輩の耳が少し赤く染まるのが分かる
「先輩照れてますね???」
そう言いながら笑うと、
「こら!バカにしたな!?」
そう言って私をくすぐる先輩
「先輩。私もです
私も先輩に出会えてよかった」
そういうと、また耳が赤くなる先輩
「また耳が赤くなってますよー??」
「うるさいな!」
そう言ってふたりで笑いあった
そして急に先輩が真面目な顔をして私を見つめる。
「てんぼちゃん、パワーもらってもいい?」
いつの日か聞いたあのセリフを先輩は言った
そして。私のことをぎゅっと抱き締めた
「今日までサポートしてくれてホントありがとう。
がんばってくるな?」
そういった先輩をもっと強く私は抱きしめた
目を閉じて先輩にエールを送る。
先輩、がんばって!!!
少しの間そうしていると
「あとさ...この前のテニス、これで負けちゃってパワーが足りなかったみたいからもう少しパワーもらってもいい??
ってゆうか、てんぼちゃんに拒否権ないか」
そう言って先輩は私の両頬を先輩の両手でつつんだ
「マジでありがと。未緒...」
そう言って私の唇に先輩は自分の唇を重ねた
.......!!!?
今、未緒って!!!
未緒ってよばれた!!!!
きゅーーーん
ってゆうか!!!
唇に...唇に...。キス...されちゃった
キスが終わって見つめ合うと、先輩は優しくにっこり微笑んでくれた
はぁぁやばい。幸せだ~
吉岡先輩に...憧れだったはずの先輩に...////
そしてそのまま自然といつものように手を繋いで駅まで帰って電車に乗った
今日は電車の中でも手を離さないままずっと繋いでいた
「じゃあ先輩、頑張ってくださいね」
私はそう言って先輩を見送った
それから2月末になり、自由登校が終わる。
先輩は全ての試験日程を終了した
先輩のセンター試験の結果は、
なんと!自己最高得点を獲得して、見事第一志望の大学の二次試験を受けることが出来た
さっすが!吉岡先輩!!
その第一志望の大学というのがやっぱり私の予想通り、ここからは少し遠い都会の大学だった。
うまく行ってよかったけど...。
すごく寂しいかな。
それに...入試が終わったからも特に私たちの関係性に変化はなく。
私たちって何なんだろう...
もしかして大学の彼女を作るまでのつなぎ??
いやいや、まさか、吉岡先輩がね??
ないない!ないって思いたい!!
今日は先輩、最後の登校日。
明日はついに卒業式だから。
そっかぁ。
先輩を見てドキドキする朝も。学校で先輩いないかなぁって探すことも。
帰り道、先輩と手を繋いで帰ることも。
もうないんだなぁ。なんて思うと涙が出そうになる。
「てんぼちゃん?どーした??」
「え???」
「急に元気ない気がして。
ごめんね?今まで勉強ばっかで遊びにも行けずに退屈だったよな??」
「何言ってるんですか!!!
試験、お疲れ様でした!!先輩がベストを尽くせて私は本当に嬉しいんですよ!?」
「てんぼちゃん。ほんと、ありがとう」
先輩が改まってお礼なんていってくれるからなんか感極まってしまう。
「明日は、卒業式なんですね...」
「そうだな。ほんと、高校生活色々あったよ...」
「思えば最初、先輩のこと起こすのすっごく緊張しました!!
色々したのに先輩全然起きないし!
起きたらもう電車出ちゃって!」
私があの日のことを言うと先輩も大きく笑い始めた
「すっごい懐かしいな!!
あのとき、俺のこと揺すったくせに、私何も知りませんよーみたいな顔一生懸命作って、
俺と目が合ったら慌ててんの!!
しかも!自分の駅じゃないところで降りるし」
あの時はすごく恥ずかしかったけど、今思い出すとすごくいい思い出だ
それももう今日で終わりなのか...。
「どした??急に黙り込んで」
「.......先輩。寂しいです...。」
遂にずっと隠そうとしてきた思いが溢れてしまった。
もー。先輩のめでたい門出なのに。