。.。:未緒side+:。.。:
切なく過ぎた夏休みが終わった…。
夏祭りの次の日先輩から
『昨日は本当にごめんね
ちゃんと話したい。いつ時間空いてる?
いつでも合わすから、連絡ください』
と連絡が来てた
あれからもう一週間。
私は何かと理由をつけて先輩の誘いを断っている
梨捺先輩との話を聞くのが怖いし、智弘の気持ちを知って混乱してる自分もいる。
智弘は一度思いをぶちまけてしまえばタガが外れたように私に好きだと言ってくれし、遊びにもガンガン誘ってくれる。
智弘と付き合えばきっと幸せになれる。
だけど私の心はそれを許さない。
吉岡先輩が、頭からどうしても離れない。
もはや自分の手に負えなくなってしまった私は舞衣に相談することにした
「未緒?行こっか」
「うん」
舞衣と私は久しぶりに放課後デートでカフェに行った
夏祭りの話を舞衣にイチから全部話した
「そっかぁ。吉岡先輩…梨捺先輩のとこ行っちゃったか。
ちぃもやっと想い伝えたのね」
「舞衣は知ってたの??」
「知ってるも何も、ちぃの気持ちなんてバレバレよ!
未緒は鈍感だもんね~」
「えっ!そんなことないよ!」
「そんなこと大あり!!
ちぃは割とずっと未緒のこと好きなのに、なんかあったら未緒が未緒がって、うるさかったんだから!」
全然知らなかった~…。
「そういえば、もうちょっとで運動会でしょ?
ちぃ、下克上リレー、燃えてたわよー?
吉岡先輩が2走だって知った瞬間にちぃも2走にしたんだから!!」
そう。うちの学校の運動会には『下克上リレー』という名物があるみたい。
各学年の選抜された4人が走る、簡単に言えば、選抜学年対抗リレー。
高校生にもなると、上の学年といい勝負をして毎回盛り上がるらしい
運動神経抜群の吉岡先輩はもちろん、エースが集まる2走。
陸上部や野球部よりも早いってすごすぎない??!
それに対抗して智弘は自ら2走を希望したようだ。
『吉岡先輩になんか負けてらんねぇ。
未緒、お前ちゃんと見とけよ』
なんて言ってた。
そんな、先輩と対抗しても…とは思うけど、なんか男の勝負なんて意味わかんないこと言ってた。
「面白くなってきたわね~」
「もぉー。舞衣ぃ。
笑い事じゃないからー!!」
そう言ってふたりで笑いあった
「けどまぁ、未緒の気持ち、大事にするべきだと私は思うわよ?
吉岡先輩が好きなら吉岡先輩を好きでいるべきだと思うし?
ちぃだって、そのくらい理解してるから、今までの仲が崩れることなんてないだろうし。
吉岡先輩の気持ちもはっきり聞くの怖いのは分かるけど、ちゃんと聞くべきじゃない??
まぁ、未緒はどっちにしろ幸せになれるわよ
大丈夫」
「舞衣ぃぃ~~」
舞衣の優しさに涙が出そうになりながら私は吉岡先輩からちゃんと話を聞こうって決心をつけた
そして、ついに運動会の日が来た
綱引き、障害物競走…着々とプログラムか終わって、
今は1年生男子の借り物競争。
『〇〇先生』
『プログラム』
『赤コーン』
とか、定番のものもあれば、うちの学校は、
『おもしろい人』
『可愛い人』
などちょっと変わった借り物もある…
可愛い人でさっき、ド緊張の一年生が梨捺先輩に声をかけてた
はぁ~。吉岡先輩…。梨捺先輩と付き合ったのかなぁ。
付き合ってるよね…。
話ってそれだよねきっと…
私がぼーっとしてると、智弘が走ってこちらに来ていた
「未緒!お前借りるぞ?」
そう言って智弘は私の手を引いた
えっ??!なになになに!!?
「さて~大人気のイケメン香川 智弘くんのお題はなんでしようか~」
なんてアナウンスがながれてる
「ちょっと!智弘!!!」
私がそう言っても智弘は私の方を向いてにやっと笑うだけ。
私が必死に智弘に引っ張られながら付いていくと、一番乗りでゴールできた
智弘の首にかかったプラカードを見ると
『大切な人』
そう書かれていた
周りがヒューヒューと言ってるのが聞こえる
恥ずかしい~///
私ばっか照れても智弘は私の肩をぐっと引き寄せてピースサインをしてる。
「あそこって付き合ってるのかなぁ~」
「いいなぁ~」
なんて周りの声が聞こえる
ほんと!こんなのカレカノみたいじゃん!!
恥ずかしいし!!!
「ちょっと!智弘!」
「俺、お前のこと諦めねぇから、周りから味方につけようかと思って?」
なんて笑いながら冗談っぽく智弘はゆうけど…
こんなの冗談キツイからぁ~~!!!!
その後、弁当の時間になってから、私の周りは大騒ぎ
「未緒ちゃん!付き合ってるの!?」
「え!どっちからどっちから?!」
「そりゃ!智弘くんでしょ~~」
はぁぁ~もー!智弘があんなことするから!
吉岡先輩にも見られちゃったじゃん。
まぁ、先輩はそんなこと気にして見てないか…
今は梨捺先輩ってゆう大事な彼女さんがいるんだもんね…
「いやぁ~さすがちぃ!開き直ったら強いねぇ~」
なんて舞衣は呑気に笑ってるけど…
全然笑い事じゃないから!!!!
「まぁまぁ、ちぃは割とずっと前から未緒にベタ惚れだったから、私は見てて嬉しいけどねぇ?」
「もー!そんなはっきり言わないでよ!
恥ずかしい!!!」
「青春ねぇ~~」
なんて言って舞衣は笑ってる
「もー!ほんと人事だから面白がって!
あ、舞衣~喉渇かない??」
「あ、ちょっとかわいたかも!」
「私、お茶買ってくるね!」
そうあって私は体育館の横にある自動販売機に向かった
自動販売機でお茶を選んでると
「永原 未緒ちゃん?よね…?」
振り返ると梨捺先輩がにっこり微笑んでいた
梨捺先輩、私の名前分かるんだ!!
でも…なんで???
「あ、いきなりごめんなさい
遥人と仲いいからつい…」
吉岡先輩と仲いい…か。嬉しいはずなのに、梨捺先輩は私のものだと言わんばかりに話す
私は苦笑いするしかなかった。
「あ、そうだっ!
さっきの。智弘くん?だっけ?
すごくキュンとしたわ
ほんとお似合いね♡」
「…い、いえ……」
私たちは付き合ってないです!!
と言おうとしたのに。
「私も遥人と未緒ちゃんたちみたいになれたらいいなぁ~なんてね?」
梨捺先輩は確かにそういった…。