「…もげ太!やっと見つけた…。おま…っ、足早すぎ…」



雨に濡れたご主人様は息を切らしながら
ボクを見つけた。





「…やっぱり見つかっちゃった。
さすがボクのご主人様だにゃ。」




「なに呑気なこと言ってんの?高熱だっつーのに心配すんだろバカ!」




「ごめんにゃさい…」





差し伸べられた手に
自分の透けそうな手を重ねるけど、
やはり触れている感触はなかった。




「え……………?」





異変に気付いたご主人様が分かりやすく
戸惑った顔をしてる。





「ご主人様、ボクはもう…」





「なんでだよ…?」






「一緒に居れるのは、今夜が、最後だにゃ。」





「…嘘だ。」





「もんげ〜…」





「そんなの、認めない。」





泣きながら、
ご主人様はボクをきつく抱きしめた。







「ご主人様…苦しいよ…。」







「好きだとか、愛してるだとか以前に、
お前は、俺がどんだけお前を大切に思ってたか分からないのか?」





「もげっ」




「ずっと孤独だった俺の前に突然現れてさ…、
いっぱい世話かけやがって。

けど落ち込んだ時はお前の変な鳴き声聞けば元気が出たし、

どんな時も側に居てくれるもげ太がいつの間にか大事な存在になってた。

俺の気持ちなんて…言わなくても分かってんだろ?

それなのに…このまま勝手に居なくなるなんて許さないからな…。」






抱きしめられている感覚もほんの少し




少しずつ、




なくなっていく…。





それなのに、どうしてかにゃ。





痛いほど、苦しいよ。