その後も、オヤジの勢いはとどまるところを知らなかった。
「はい、じゃあアナタはこの看板を持ってここに立っててねぇ!ポーズは…そうねぇ〜、こんな感じで!」
「も、もげ〜。これでいいのかにゃ?」
「最高最高!!チョー可愛いわぁ!もぉ食べちゃいたいっ!」
「ぼ、ボクを食べても美味しくないぞ…!」
「おバカね〜、冗談よ!まっ、これでお客さん集め放題ね!じゃ、あとはよ・ろ・し・く♡」
「まっ、待つにゃッ…!」
ボクの呼び止め虚しく、店長はサッサと店内へと戻ってしまった。
「ど、…どうしたものか…」
通りすがる大勢の視線を集めながらもボクは困惑から冷や汗が止まらなかった。
振り向くと、店内ではこちらの様子を気にしながら働くご主人様の姿…。
ああ、ご主人様。
ボクが言いつけを守らなかったためにこんな事になるなんて…
本当にごめんなさい!
そんな懺悔を心の中で述べながら、通行人の男性とパッチリ目が合い、なぜかその男性がこちらへ近寄ってくる。
「ねぇ、キミめちゃ可愛いね。ここでバイトしてるの?」
顔がすごく近い…。
ど、どうしよう…。