「ったく!バイト先まで目と鼻の先だっていうのに…。こうなったら遅刻覚悟だ!家まで帰るぞ!」
お怒りモードのご主人様に、シュンとなりながらも「えー!」と不満を漏らすボク。
そんなボク達の前に次に現れたのは、背の低い小太りなおじさんだった。
「て、店長…!」
「あらやだ!木下くん!誰なのその超絶可愛い子猫ちゃんは!?」
ボクを見つめて目がハートになるバーコードオヤジに、もはや顔面蒼白のご主人様。
大好きなご主人様の言いつけを守らずに他の人間に見つかってしまったボクも、同じく蒼白で尻尾が下がりまくりだった。
「え〜っとコイツは俺の飼いネ…、いやいや、単なる知り合いです。」
「飼いネコっ!!?」
ご主人様に首根っこを掴まれたボクの事を、品定めするかのように上から下まで眺める店長とやら。
そしてブツブツ独り言のように、早口で喋り出す。
「木下くんの彼女はリアルな猫耳に尻尾のコスプレが似合うロリロリの美少女…。ハッ!やだ!もしかしてもしかしなくても二人はそういうプレイを常日頃から愉しんでるんじゃなぁい!?彼女はスタイルも抜群だし、これは行ける。行けるわ!!ついにあの制服が似合う女子が現れたのね!この子がいればウチのお店は大繁盛間違い無しよ!」
鬼気迫る勢いのオヤジに、不安そうな顔のご主人様。
そして、こっちの都合もお構いなしにオヤジは言った。
「よし!アナタ今日一日ウチでバイトしてちょうだい!給料は3倍出すわ!いいわね?」
「は…!?いや店長何言ってるんですか!待って下さ…!」
「いいえ、木下くん。アタシもう決めたの!本気よっ!」
「な、なんだなんだなんなんだにゃ!?」
かくして、ボク達は無理矢理オヤジに連れ去られたのであった。