春。

進級したり、入学したり、学校では生徒で賑わう昇降口の季節。
私は、進級できたという晴れやかな気持ちで、昇降口に臨んだ。



去年、同じクラスだった子をちらほら見る。

昇降口に近づくにつれ、女子たちの嬉しさや悲しさの阿鼻叫喚の声が良く聞こえる。
わかるわかる、と心の中で共感する。
そんな女子たちの間をすり抜けてなんとか昇降口につけたものの、肝心の紙が前のでかい男の人たちで見えない。
身長152.4cm、少し小さめだと思われる私のこの身長は、こういう時にとても不便だ。


困った。

早くクラスを見て深希に報告したいのになー…

と半分諦め状態で突っ立っていた。


不意に、








ドンッ










頭に痛みが走る。

「いっ…!?」

「あっ!?やっべ、ごめん!!!」



頭を押さえながら振り向くと、そこには大きな大きな男の人が慌てていた。