『死者に会える』なんて科学的に考えればやっぱりおかしいことだけど、実際に会えた人がいて50年もの間、大事に記事を取って置いたというのであれば、信ぴょう性がさらに増す。

ここに記されているように伝説を叶えて、麻子さんは瑞子さんに何を伝えたのだろう、そして何を伝えてもらったのだろう?


「その箱の中身は、芙海さんたちが全部持ってって」

「いいんですか?」

「ええ、その方が母も喜ぶわぁ」

「じゃぁ遠慮なくいただきます、ありがとうございます」

「会えるといいねぇ、ハナさんに」


絢子さんにズバリ言い当てられて、胃の裏あたりがギクリとした。

学校の自由研究なんて嘘はすっかりお見通しで、個人的な願望でここまで来たことがバレている。言い逃れできず「はい」と小声で返す私。

実に楽しそうにニコニコ笑う絢子さんの横顔は麻子さんそっくりで、瑞子さんも生きていれば、きっとよく似ていたんだろうなぁと思っていると、


「あのぅー、すみませーん」


麻子さんの声がした。


「はーい。母が呼んでいるから行くわねぇ」

「あ、じゃぁ私たちもそろそろ。今日は突然お邪魔してすみませんでした」

「いいのよ、また遊びにきて」

「はい、ぜひ」