螢side

学校へつくと、哀川さんの悪口で盛り上がるクラスメイト。
ヒソヒソヒソヒソ、他人の不幸ばかり語り合って何が楽しいんだか。
ふと、哀川さんに視線を向けると、哀川さんが過去を話してくれた時以来の怯え様だった。
きっと色々な人から見られること、色々な人からの視線が哀川にとってきついのだろう。

_______________面白くない。

なぜかそう思った。
「あ、ごめ、」
「ねぇ、何やってんの。」
イライラする。
「人の不幸を笑って何が楽しいの。」
哀川さんに、こんな顔をさせたヤツらに。
「どうせ哀川さんがどういう人か、知らないんでしょ。」
哀川さんに向かって好き勝手、わかったようにいうヤツらに。
「だ、だって、」
「どうせ哀川さんが人を殺した?」
「……っ!」
「そんなのただの言い訳でしょ。」
きっと誰かに対してこんなにムキになったのはすごく久しぶりだと思う。
「だったら……、」
ここまで言ったところで誰かが教室へ入ってくる。
「はい、その話終了だ!月宮、哀川君を連れていってくれ。」
入ってきたのは天文学部、弓景先輩を除く全員だ。
「了解です。」
「理駆、莎駆も応接室な。ここは俺が何とかする。」
「僕も残りたかったなぁ。」
「理駆、戻る。」
「緋山君も応接室だ。」
「…………はい。」
ここは部長に、風紀委員長に任せればいいか。
きっと、うまくまとめてくれる。