家に着く。その頃にはもう雨は上がっていた。雨の間、家の中にいた人たちは待ってましたとばかりに外へ出てくる。
「雨、止んだね。」
「そうだね。」
家の中では昼食が置かれた机に向かい合っている僕と哀川さん。
今日の昼食は家にあった素麺。
「ごめんね、なんか雑な食事になっちゃって。あと一品くらいつける予定だったけど…。」
「別に食べられるだけいいでしょ。」
夏にはぴったりで、先程までのじめじめした感じを吹き飛ばしてくれそうなさっぱりした昼食だ。

「緋山君は寝てた?」
「起きてたけど。」
「そうなんだ。緋山君はいつも眠たそうなイメージだから。」
「別にいつも眠たいわけじゃないよ。」
目が覚めている時間の4分の3位が眠たいだけ、と言おうと思ったけどいつもとほぼ変わらないからやめとく。
「明日はゆっくり休んでもいいからね。」
「哀川さんが休んだ方がいいと思うんだけど。」
「んー、水谷さんが前言ってたけど私はあんまり寝すぎちゃダメみたい。」
「へぇ。」
えへへ、と楽しそうに話す哀川さん。