そして、バイト先に電話で謝り夕飯を作る。
バイトの方は店長が優しいから許してくれた。今度、お詫びの品でも持っていこうかな。
「そういえば……。」
緋山君にケーキを買ってあげるとか言って買ってなかったような気がするなぁ。
言ってないかもしれないけど。
「ねぇ、緋山君。」
「ん?」
「何のケーキが好き?」
「………イチゴケーキ。」
「イチゴが好きなんだね!今度手作りでよければ作ってみるね!」
「作れるの?」
「これでもバイト先ではお菓子作りの担当だから。」
「そう。期待してる。」
緋山君はまた本に視線を移す。

夕飯は思った以上に早くできた。
まぁ、サンマの塩焼きは焼くだけだもんね。
魚料理はうまく作れないけど、美味しいから好き。お肉はうまく噛みきれないからハンバーグとか以外は苦手。
「緋山君。机の上かたしてもらってもいい?」
「……分かった。」
渋々という感じだけど、片付けてくれるのが緋山君のいいところだと思う。
「いただきます。」
「……いただきます。」
そして箸を進めていく。
だけど、いつもより緋山君の食べるスピードが遅い。もしかして………。
「緋山君、サンマ苦手?」
「苦手ではないけど………。骨とるのが面倒。」
「そっか…。」
そういわれれば、緋山君はさっきから骨をとるのに一生懸命になっている。
「と、とってあげようか?」
「………じゃあ、お願い。」
緋山君にサンマの乗ったお皿が渡される。
「こういうのにはねコツがあってね……………。」
実践しながらコツを教えていく。
私の教え方なんかで上達できるなんて思わないけど。
「へぇ、凄い。」
「そ、そうかな…。」
緋山君にすごいって言われると照れるなぁ。