「あ、あの!話がよくわからないんですけど……。」
「そっかそっか。澪月は何も言われてない?螢から。噂好きな少年のこと。」
「あっ!」
噂話好きな少年。
眞白先輩のことを相談した時に出てきた人だ。
でも、なんで知って……。
「それ、俺だよ。」
「えぇ!?」
「ねぇ、どこから探してるなんて情報が入ったの。」
すると、澄君はんー、と悩む素振りを見せてからすぐに笑顔で答える。
「風の噂で。」
「嘘。」
う、噂でそんな情報まで手に入るなんて思わないよね…?
「澄君。眞白先輩、弓景眞白さんのこと、助けてください。」
「あぁ、知ってる。螢と違って素直ないい子じゃねぇか。」
「うるさい。」
「助けてやってもいいけど、お金は貰うよ?」
「お金……ですか…。」
眞白先輩を助けたいけど、これ以上お金を支出したら私たちの生活費も危なくなる。

「まだやってたんだね、それ。」
「気にすんなって。」
「いい加減辞めたらいいのに。」
「俺は螢じゃないから途中で投げ出したりはしない。」
「…………いつの話。」
「とぼけるのか?中学2年生のときの話。」
「ま、澄君。緋山君が……。」
緋山君から放たれる怒気が私でもわかるほどさっきと比とならないくらい膨らんでいく。

_______________螢は期待を裏切るのが好きだもんな。