「あ、えっと、私は全然大丈夫だよ。だけどお願いがある、の。」
そこまで言ってもう一度僕を見つめる。
今思うと哀川さんって結構、僕と目を合わせようと努力してくれるようになったな、なんて関係の無いこと思う。
「言えばいいんじゃない?」
僕がそう言うと哀川さんは覚悟をしたようにまた、クラスメイトに向き合った。

「わ、私の友達になってください…。」

後半はすごく小さな声で聞き取るのが難しかったけどこれでいいの、とでも言いたげな不安そうな顔で僕を見上げてる哀川さん。
そんなことに気づかないクラスメイトはすごく嬉しそうな顔で、そんなんでいいの?と哀川さんを見つめていた。
「じゃあ、私は哀川さんのこと、なんて呼べばいいかな?」
「な、なんでもいいよ?」
「うーん………。あ、みーちゃんは?哀川さんの澪月から。」
「うん!じゃあ、私は……。」
そんな感じで二人で話している。
僕は邪魔だよね。
「哀川さん、先席についてるから。」
「あ、待って、」
「何。」
「どうしたらいいの?」
「それは自分で考えなよ。」
「そうだね。緋山君、ありがとう!」
「はぁ。」
僕は助言しただけでお礼を言われるようなことなんて何もしてないんだけど。
だけど、だけど、哀川さんの嬉しそうな顔が見れたのはなぜか嬉しかったな、なんて。