土煙の中に揺れる影に向かって鬼が拳を振りかざした次の瞬間、あまりの眩しさにきつく目を閉じる。



「俺に命令するな」



はっとその声に反応するように目を開けると、刀を握ったままの嘉さんが私を鋭い目で見つめていた。


動きを止めた鬼が怪しく揺れ、カシャンと鞘に刀を仕舞い込んだのと同時に鬼が真っ二つに裂けた。


フワフワと浮かび上がる光に鬼の姿形が消えていく。


その光がどんどんと嘉さんに吸い込まれていく。


キラキラと銀髪のその髪が風もないのに靡くように舞う。


ため息が漏れてしまうほどの美しさに、見とれていると一気に嘉さんが私との距離を縮めてきた。