それどころか体が熱い。


次々と鬼に斬りかかっていく嘉さんだけど、鬼はびくりとも動かない。


土煙を舞わせながら鬼は嘉さんを殴りにかかった。


風圧が遠くにいる私の所まで届く。



「嘉さん!!!」



何のために戦っているのかわからない。


土煙を上げて殴り飛ばされた嘉さんの姿はもう見えはしない。


ゆっくりと飛ばされた嘉さんの元へ鬼が近づいていく。


土煙が立ち込める場所へと辿り着くと大きく腕を振り上げ――



「駄目っ!!」



怖くて仕方ないのに考えるよりも先に体が動く。


ぐわっと熱く帯びる体に湧き上がってくる不思議な感覚。


グイッと左手の糸を引っ張り、天に向かって手をかざした。