しなやかに振るう刀から溢れ出す光が、妖を切り裂いていく。
切り裂かれた妖達は黒い霧となって木々に吸い込まれていく。
こんなに木々が黒いのは……ブンブンと首を振って目の前で戦う嘉さんに集中する。
舞を舞うような軽やかな足取りだけど芯はしっかりとぶらすことなく刀を振るう。
こんなに強いっていうのに……まだこの人は力を求めるっていうの?
半ば呆れた感情が出てくる頃には一匹残らず倒し終わる。
刀を鞘へと戻すと私へ向かってズンズンと歩いて来る。
眉間のしわが強く刻まれたその顔に身構えておく。
力なんて存在自体が分かりっこないんだから、そんな怒らないでよ。
「この馬鹿者!一人で行動するとは何事だ!!」
「力の使い方なんて知りっ――え?」
「何故あの場所から離れ、俺からも離れた!万が一のことがあったらどうするというんだ!」
予想外の言葉に口が自然と開く。
そ、そっちなの?力の事じゃなくて?
目の前に来た嘉さんを見上げると、相当怒ってる。