いつの間にか現れた伊鞠くんが私の腕を引きながら、立たせる。


そのまま嘉さんとの距離を少し保ち立ち止まると、伊鞠くんは真剣な眼差しで嘉さんを見つめる。



「童!さっさと力を捧げろ!」


「ち、力って一体何?!」


「本当にあなたって奴は!!巫女の力のことに決まってるだろう!!」


「そっそんなこと言われたって……」



責められるように二人にそう言われても、何も分からない。


まったく……説明してから連れてきてよ!!


自分の体をあちこち触って、何かないかと考えていると嘉さんが動き出す。


次々と集まってきた妖に動じることなく、群れと化した妖のど真ん中へと突っ切るように進んでいく。