そんなことをしながら進んでもう30分以上。


一体何個目の目印なんだろう。


足場の悪い道という道がない森の中を歩きながら、小さくため息をついた。


森の外に出られる気配もないし、嘉さんの姿も見つけられない。


どんどんと霧は濃くなって1メートル先も見えない。


じわりと滲む汗にぬっとりと霧が頬を撫でていく。



「帰りたい……」



項垂れるように、また目印をつけようとした。


するとぺチャリと今までにない音が、足元で聞こえ動きを止める。


はっと思って足元を穴が空くぐらい見つめる。


霧がゆらりと揺れそこにあるのは……


真っ赤な足に黒い爪。


それを辿るようにすぐ横を見る。