はあ……というため息と共にしっかりと支えられる感覚に少しほっとして目を開けると、綺麗に浮き出た鎖骨が目の前にあった。



「えっ」



あのふわふわの尻尾の感覚じゃないことに気づく。


そっと背中に回された手の温もりをゆっくりと感じる。


も、もしかして……


お姫様……抱っこ??



「お前は本当に手のかかる奴だな……」



やけに近いその声に、申し訳なさでいっぱいになる。


とりあえず下ろしてもらわなきゃっ!



「よ、嘉さん。私、重たいから下ろしてください」


「逆だ。何を食ったらこんなに軽くなる。ちゃんと食ってるのだろうな」


「食べてますって!!」


「しかし……血は受け継いでいても、本来持つべき力は受け継がれていないか。まあ、いい」



何がいいのかよく分かんないけど、嘉さんは一人納得して辺りを見渡した。


スンっと匂いを嗅いで、ある位置でピタリと動きを止めた。