案の定倒れる前にすぽっと嘉さんに支えられたかと思えば、糸のついた方の腕を取られる。



「真なる契をここに」



そう嘉さんが唱えると、私の糸と嘉の糸がシュルリと伸びてそのまま糸は固く結ばれる。


すると、パッと糸が見えなくなって何もなかったかのようになった。


キョトンとして自分の手首を見つめると、後ろにいた嘉さんがスッと立ち上がって縁側へと歩き出した。


伽耶ちゃんはゆっくりと巻物を元に戻して片付けながら、大きなため息をついた。



「まったく……千代の答えも聞かないで……」


「今のは?」


「互いに認めあった証として、糸同士を結ばせる。もう後戻りは出来ぬぞ、千代。嘉と共に力をつけねばならぬ」



どうやって……私は力をつければいいんだろう。


でもこれでお嫁さんになる契約みたいなのが消えるなら……やるしかない。