小さくこくりと頷くと、伽耶ちゃんは一口お茶を啜り話を続ける。



「あいつには色々事情があってな。天界からこちらへと落第生のように落とされてきた。そして、自分よりも力を持ってる者に自分の力を示そうとすると、自分の力が相手側に全て奪われてしまうという、神と名乗る者にはあってはならない状態になっている」


「力……」


「ようやくここまで自分の力を溜め、維持できる程まで到達した。後は自分の力を示し、遣いを集める。天界へそれが上からの命令だ」



確か……嘉さんが出会ったばかりの時、契をどうたらって言ってたのはそのため?


順調に進んできていたんだろうけど、この私のせいで多分状況がガラリと変わっちゃった……ってわけだよね。


言霊の力があったから私は今ここにいて……


ちらっと嘉さんを見ればじっと外を見つめたまま。



「千代。自分では分からないだろうが、お主はかなりの力を秘めている。その力を悪に使おうと企む者もいるだろう」


「悪に使われるってどうやって?私のこの力ってやつは嘉さんにしか使えないんじゃないの?」


「今は嘉だけだ。だが、先ほど説明したように力が全てだ。嘉よりも強い力の持ち主に力を示されれば、お主はその者に仕え、妃とならなければならない。まあ糸がある限りそれは不可能に近いがな」




また知らない人のおでこに……キスしなきゃいけなくなるってこと?


そう考えると少し苦い顔になる。