狐に……これは巫女?


狐は巫女に伏せるようにしながらも、巫女を見つめている。


なんの絵なんだろう、これ。



「天界の守護神と、その妃である巫女の絵だ。力によって選ばれし巫女は、神と共に天界へ尽くす運命(さだめ)がある。そしてこっちが――」



ズルッと巻物を移動させるとそこには、さっきの絵とは逆の立ち位置で描かれた狐と巫女。


さっきとは違って巫女が、狐に向かって跪いてる。



「これは言わば、今の千代と嘉の関係と全く同じ状態だ」


「え?」


「力がある者に敬意を示す。本来ならばそれは神である天神狐(てんじんこ)に巫女が力を与え、敬意を示す。だが、おかしなことがあいつの身に起こったろう?」



思い返すと、私が帰ろうとしたあの時嘉さんの姿が変わった。