「代々白憐の血を受け継ぐ者は天界に力を納めると共に神の妃とならなければならない掟がある。だが、それは力を使わなければ神はどこに巫女がいるかわからない。――言霊を操り神に知らせるその力をな」


「あ……」



雨宿りしていた時に言ったあの言葉。


何気なく言ってしまったあの言葉は、不思議な力を持った言葉だったんだ。


もしかして……



「あの……その力って白い桔梗みたいな花も咲かせたりしますか?」


「力を感じればあの花は咲く。力があの花の養分と言ってもいい」



じゃあ……あの桔梗の花は最初から咲いてたわけじゃなくて、私のあの言葉に反応して咲いたんだ。


あの路地裏に咲き乱れたのも私があの言葉を言ったから。


引き寄せられて歩いたのは受け継いだ血がここに反応したから。



「……」


「その力を持って、俺に仕えろ。文句は一切なしだ。絶対に」



黙って朱色の糸を見つめ、下唇を噛み締める。