信じていないわけじゃない。
見えない糸で誰かと結ばれているのかもしれないって思うこともあった。
でも、これは流石に……
「やや信じてます」
「はっきりしない答えだな……」
あったら素敵だなとかは思うけど、でも実際にあるなんて言われてもなんか受け入れるまでに時間がかかる。
そんな私の答えに伽耶ちゃんがクスクスと笑う。
「……これは妃候補となる者にしか現れない、不思議な力を持つ糸だ」
「妃?」
「お嫁さんのことだ。千代、お主はこやつの妃に選ばれたんだ」
お嫁さん……?
真っ白なウエディングドレスを着て、綺麗なチャペルを歩いて、将来支え合いながら生きていく人と誓いの言葉を言う……あのお嫁さん?
それが、この私?
朱色の糸と嘉さんの顔を交互に見て、首を傾げた。