段々と体温が上がっていくのが分かる。


いつもなら冷静にいられるのに、なぜか鼓動が早くなる。


嘉さんの吐息を耳で感じ、顔が熱くなる。


どうしたの……私。



「よ、嘉さん……」



意味もなしに名前を呼ぶと、抱きしめる力が強まった。


少し息が苦しいこの状況だっていうのに、なんで。


なんで、なんで……嬉しいんだろう、私。



「わ……千代」



童と呼びかけようとした嘉さんだけど、耳元でそっと私の名前を囁いた。


耳が赤くなっているのは、鏡を見なくても分かる。


返事が出来ずに、小さく息を飲む。