段々と体温が上がっていくのが分かる。
いつもなら冷静にいられるのに、なぜか鼓動が早くなる。
嘉さんの吐息を耳で感じ、顔が熱くなる。
どうしたの……私。
「よ、嘉さん……」
意味もなしに名前を呼ぶと、抱きしめる力が強まった。
少し息が苦しいこの状況だっていうのに、なんで。
なんで、なんで……嬉しいんだろう、私。
「わ……千代」
童と呼びかけようとした嘉さんだけど、耳元でそっと私の名前を囁いた。
耳が赤くなっているのは、鏡を見なくても分かる。
返事が出来ずに、小さく息を飲む。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…