綺麗な瞳に吸い込まれそうになる。


真っ直ぐ私を見つめる嘉さんの瞳に映る私の顔。


そんな真剣な瞳で見られると、どうしていいのか分からなくなる。



「すまない」



唐突に謝られて、何のことだかさっぱりでしばらくの間は嘉さんの瞳を見続けた。


先に逸らしたのは嘉さんで、また雲の海を見つめては少し悔しそうな表情を浮かべる。


どうして謝ったの?


理由を聞きたかったけど、なぜかそれができない。


そんな私の気持ちを読み取ったのか、嘉さんは色づき始めた雲の海を見つめて言った。



「……肩の傷は癒えたとは言え、お前を傷つけるようなことはあってはならない事だ」


「ああ……それなら気にしない――」


「ならん」



私が全て言い終わる前にその言葉を遮った。


真剣な声色がやけに耳に残る。