……ってなんでこんな場所に嘉さんは、私を連れてきたのだろう。


しかもこんな朝早くに。


普通だったら二度寝しそうな時間だっていうのに。



「嘉さん、どうしてこんな場所に連れてきたんですか?」



そう聞いてもなかなか答えてくれない嘉さんに、もう一度問いかけようとした。


でも私よりも先に嘉さんが声を発した。



「傷はどうなんだ」



雲の海をじっと眺めながら嘉さんが聞いてくるけど、質問の答えにはなっていなくて。


傷って一体なんのことだろう。


思い返してみるけれど、思い当たるものがない。


強いて言うなら昨日扉に足をぶつけたくらいで、傷なんか出来ていない。


考え込む私を顔に近づけるように、嘉さんは腕を上げた。