目覚ましよりも早く目覚めた私は、そっと窓を開けて新鮮な空気を肺に送り込む。


まだ薄暗い空におはようと投げかけると、下から物音が聞こえる。


ハッとして身を縮めて姿を隠す。


妖か……それまた霊か???


あの日の事件が起こった後は、やたらと敏感になってしまった。


あれから大きな事件もないし、ここ人間界からはこの間起こった事件はすっかり忘れ去られてしまった。


最終的にまとめられた不良達の悪戯という事件のおちについては、私も納得しなかったけど。


戒哲は自分を騙した魔術師の後を追い、また会うことを約束し私達を元の世界に戻してくれた。


火の鳥による被害は、少なく戦いの傷は残さずに終わることができた。


丸く収まった今回の事件だけど、嘉さんの力になるような報酬はなくて嘉さんの不機嫌はしばらく続いた。

それでも当たり前の日常が当たり前のように流れていく。



「童、起きてるのか」



そう投げかけられた言葉に、ばっと窓から体を乗り出すように体重をかけると、いつの間にか嘉さんが目の前にいた。