なんだか嫌な予感もするけれど、掴まれた手を見つめた。
そっと撫でるように糸を触ると、またもや引っ張られて戒哲と密着する形になる。
何がなんでこうなるの……?
ぽかんと口を開けていると、私の顔がおかしいのかクスクスと笑い出す。
「あんな奴じゃなくて、俺にしない?」
「え?」
「あいつの嫁になるんだろ?こんないい女あんな奴に手放したくないもんで」
悪戯っぽく笑う戒哲が、急に額に唇を押し付けてきた。
頭が付いてこないこの状況にキョトンとしていると、ドカドカと近づいてくる足音が無理やり私と戒哲を引き剥がした。
「お前……!!」
「無理やり交わした契なんて意味をなさないことを知ってるか?」
「ふん、お前は童の力を使いこなす程の器は持っていないだろ。奪えるわけがない」
「力の問題じゃない。俺が言ってるのは――愛の話だ」
始まった暑い謎の戦いに私は小さくため息を漏らした。
平和なんだか、平和じゃないんだか。