轟音と共に龍が空へ昇っていくと、光の雨が降り注いで辺りを包んでいた火の海を消していった。
その空へ向かって女の子は急いで飛んでいき、戒哲をぎゅっと抱きしめた。
『兄さん……ごめんね。私はいつも傍にいるから、どうか幸せになって』
「戒凛(カイリン)……」
……終わったんだ。
妹を最期に見た戒哲は、ゆっくりと手を伸ばすけど、ふっと消えた妹を抱き寄せることはできなかった。
風に包まれながら空から降りてくる戒哲を、しっかりと受け止める。
私の肩に頭を垂れるようにしていると、小さなうめき声が耳に届く。
そっとその体を引き離すと、体の感覚を取り戻したのか自らの足で地面に立った。
「うっ……」
「ちゃんと目覚ましたんだね、戒哲」
「……ああ。巻き込んですまなかった」
「良かった。ちゃんと自分を取り戻せたんだね」
「あんた……その傷……」
肩の傷を指さして、顔をしかめた戒哲に首を横に振った。
「ただ、転んだだけだよ」
「こ、転んだって――」
心配して私の体を引き寄せようとする戒哲だけど、その前に何かが間に入ってそっちに体を持っていかれた。