怪しげな笑みを浮かべると、一気に力を込めてくる。
ズルズルとこちらへ押される女の子は、額に汗をかきながら必死に耐える。
「『いい加減……諦メロ!!』」
影をより一層集めた火の鳥は戒哲の体を真っ黒に染め上げていく。
そして女の子が張る結界に亀裂が入った。
ミシミシと音を立てても尚、女の子は逃げる事はない。
――希望を捨ててない。
『兄さんっ!!!!』
弾けた結界がキラキラと宙を舞い、振り下ろされた大鎌がこちらに向かってやってくる。
スローモーションに見える後継の中で、私は女の子を引き寄せ、真っ黒になった戒哲に向かって手のひらを開いて前へ突き出した。
「怪破っ!!!!!」
力強く叫ぶと私の体から透き通った一匹の金色に輝く光龍が、戒哲を飲み込み、大空へと飛び立った。
咆哮と共に辺りが光に包まれていく。
「『ぐあァアあああああァア!!!』」
天空で、黒い影が吹き飛ばされるようにしながら戒哲の体から消えていく。