しまったという顔をして嘉さんがこちらを振り返った瞬間、急な背中の激痛にその場にしゃがみ込む。
何かに強く突かれたような痛みは、じわじわと広がっていく。
火で揺れ動く私の影が大きくなった。
咄嗟に後ろを振り返れば、そこにいたのは影に包まれた戒哲だった。
大鎌の切先が首に突きつけられて、下手に動いたら首を殺られてしまいかねない。
「『残念ダッタナ。アノ身が使い物にならないとなれば、コチラに移れば何の心配もイラナイ』」
戒哲の声なのにどこかぎこちないその言葉に、はっとする。
火の鳥が戒哲の中に入ってる……!?
どうやって……さっきまで嘉さんと戦っていたというのに!!
「『フハハハハ……!!その焦った顔は嫌イじゃないゾ。だが、もうお前ニ用はナイ!!消エロ!!』」
振り下ろされた大鎌のシュッと風を切る音と、嘉さんの叫び声に体が硬直する。
ぎゅっと目を閉じて痛みを覚悟することしかできなくて、滲む涙にきらりと何かが映る。