「堕ちた者であるというのに……何故だ……ナゼ」



ぶつぶつと唱える火の鳥に、嘉さんは答える事なくもう手を振るう。


風と共に光の刃は勢いよく翼を切りつけてくと、火の鳥の羽が枯葉のように散っていく。


これでもう……飛ぶこともできない。


安心する気持ちもあるけれど、どこかまだ胸騒ぎが続く。



「言え。お前の主はどこだ。答えれば命だけは助けてやろう」



揺れる炎の中で嘉さんは静かに告げる。


パチパチと音を立てながらたくさんの酸素を含んだ木々は、その身を焦がし火元を大きく広げていく。


燃える音がこだまするだけで、火の鳥の口からその答えは返ってくることはなかった。


しばらくの沈黙の間、嘉さんは火の鳥の返事を待つけれど諦めたようにもう一度手を前に構えた。


すっと腕を大きく横に振り―――